第138条【本章の適用範囲】
期間ノ計算法ハ 法令、裁判上ノ命令又ハ法律行為ニ別段ノ定アル場合ヲ除ク外 本章ノ規定ニ従フ第139条【期間の起算点】
期間ヲ定ムルニ 時ヲ以テシタルトキハ 即時ヨリ之ヲ起算ス第140条【同前】
期間ヲ定ムルニ 日、週、月又ハ年ヲ以テシタルトキハ 期間ノ初日ハ之ヲ算入セズ第141条【期間の満了点】
但 其期間ガ 午前零時ヨリ始マルトキハ コノ限ニ在ラズ
前条ノ場合ニ於テハ 期間ノ末日ノ終了ヲ以テ 期間ノ満了トス第142条【同前】
期間ノ末日ガ 大祭日、日曜日其他ノ休日ニ当タルトキハ 其日ニ取引ヲ為サザル慣習アル場合ニ限リ 期間ハ其翌日ヲ以テ満了ス第143条【暦による計算】
(1)期間ヲ定ムルニ 週、月又ハ年ヲ以テシタルトキハ 暦ニ従ヒテ之ヲ算ス(2)週、月又ハ年ノ始ヨリ期間ヲ起算セザルトキハ 其期間ハ 最後ノ週、月又ハ年ニ於テ其起算日ニ応当スル日ノ前日ヲ以テ満了ス
但 月又ハ年ヲ以テ期間ヲ定メタル場合ニ於テ 最後ノ月ニ応当日ナキトキハ 其月ノ末日ヲ以テ満期日トス
第22条 保護者(子女に対して親権を行う者、親権を行う者のないときは、未成年後見人をいう。以下同じ)は、子女の満6才に達した日の翌日以降における最初の学年の初めから、満12才に達した日の属する学年の終わりまで、これを小学校又は特別 支援学校の小学部に就学させる義務を負う。
◆4月1日生まれの子女が満6歳に達するのは生後6年の3月31日。「学年の初め」とは施行規則かなにかで4月1日と定められているから、「翌日」の4月1日から入学する。4月2日生まれの場合は、4月1日が満6歳に達した日となるため、翌日(4月2日)以降の学年の初め、すなわち来年の4月1日に入学することになる(ほぼ7歳)。
第55条 期間の計算については、時で計算するものは、即時からこれを起算し、日、月又は年で計算するものは、初日を算入しない。但し、時効期間の初日は、時間を論じないで1日としてこれを計算する。
2 月及び年は、暦に従ってこれを計算する。
3 期間の末日が日曜日、土曜日、国民の祝日に関する法律(昭和23年法律第178号)に規定する休日、1月2日、1月3日又は12月29日から12月31日までの日に当たるときは、これを期間に算入しない。ただし、時効期間については、この限りでない。
この規程における勤続期間は、次に定める方法により計算する。
- 受給資格算定のための勤続期間は、入社した日から退職した日までのうち、1年未満の端数を切り捨てた年数とする。
- 給付額算定のための勤続期間は、入社した日から退職した日までのうち、1ヵ月未満を1ヵ月に切り上げた年月数とする。
<その他の例>
- 入社した日の属する月から退職した日の属する月までの年月数とする
- 入社した日から退職した日までのうち、1ヵ月未満の日数が15日未満の場合は切り捨て、15日以上の場合は切り上げた年月数とする(年月日数の日数が重要な意味を持つケース)
- 入社した日の翌日から退職した日までのうち、1ヵ月未満を切り捨てた年月数とする
- 入社した日から退職した日までのうち、6ヵ月未満は切り捨て、6ヵ月以上は切り上げた年数とする
- 入社した日の属する事業年度の初日から退職した日までのうち、1ヵ月未満の端数を切り上げた年月数とする(営業日にかかわらず4月1日を起算日に統一するケース)
- この規程において定年日とは満60歳に達した日とする。
- この規程において定年日とは満60歳の誕生日とする。
- この規程において定年日とは満60歳に達した直後の給与支給日とする。
- この規程において定年日とは満55歳に達した日の属する事業年度の満了日とする。(学校のように3月31日等にそろって退職するケース)
(※)139条でまず時間の起算点について規定していることから、初日のある時刻から起算した場合、24時間後の時刻で1日と数えることになり、初日では1日に達しないことから、初日不算入の原則が考案されたものと思われる。それは、140条但し書きにより0時から起算することとなった場合は「初日算入」であることからも窺い知れる。そもそも「初日不算入の原則」が民法で規定された趣旨というのは、例えば、午後1時に契約を結んだ場合に、初日を算入することにすると、午前中までその契約の効果が及んでしまう・・・すなわち契約を結ぶ(調印)前についても責任を負うことになるのはおかしいでしょってことにある。
しかしながら、勤続期間などのように、出勤した事実を算入する場合においては、事実上0時出勤ということはありえないから、午前9時に出社し、午後5時に退社したことをもって1日と数えることになる(例外は「休日出勤」ではない休日については団体等に所属していると見なしてこれを算入すること)。社内の就業規則である退職金規程も、会社と従業員との「法律行為」の一種であるから、その規定で「入社日から起算」となっていれば「初日算入」で問題ないわけである。
契約日と契約期間・満了日についてもしかり(ただし契約日=調印日の場合は前記の例による。しかしこの場合も調印前から契約締結者がサービスを開始しているなど附則に一筆書けば問題ない。)。通常、契約書には「附則」または「経過措置」として契約が有効となる起算日が記載される。この場合もちろん初日算入(両端入れ)の計算を行うことになる。
なお、法令上、特別の規定により適用が除外されているケースはたくさんあります。国会法による会期の起算、公職選挙法による任期の起算、重要なものとしては、刑法23条の刑期の計算、刑訴法の時効期間、民訴法の裁定期間の始期、戸籍法、年齢の起算などいろいろ。
「満20歳に達する日」と「満20歳に達した日」とは同じ意味であって、「満20歳の誕生日の前日」をさす。未到来の時期に表現する場合には前者となり、経過後の手続を実施する際等の場合は後者となるに過ぎない。「年齢計算に関する法律」により、年齢は誕生日の午前0時を含んで起算し、20年後の応当日(誕生日)の「前日」午後12時未満を経過したとき(「当日」午前0時)、満20歳となる(2月29日生まれは例外。3月1日生まれも年次によって変動。)。従って「達する日」と表現した場合は、例えその日(誕生日の前日)であっても「未到達=満19歳」である。★ここで、問題となりやすい例は、誕生日が月始、すなわち各月の1日である場合である。具体的には、7月1日が誕生日で20歳になる者が満20歳に達する日は、6月30日である。ここで「6月30日午後12時」と「7月1日午前0時」の違いに注意しなければならない。すなわち、「満20歳に達する日の属する月」は7月ではなく、6月である。これはさまざまな契約のケースで問題になることがある。
この考え方を一般の民間等契約で変更して定めてもそれは有効であるが、ここに1つ異端な法令がある。「公職選挙法」である。
(選挙権)
第9条第1項 日本国民で年齢満20年以上の者は、衆議院議員及び参議院議員の選挙権を有する。
一般の法律の解釈では、選挙日の翌日が誕生日の者は「選挙日に満20歳に達する」。すなわち、選挙日が終了(午後12時)しないと満20歳に達していない。ところが、公職選挙法の運用上はこのケースの者に選挙権を与えている。つまり19歳で投票できる人がいる、ということである。マイペースの選挙管理委員会である。夜12時をまたいで国会決議をすることなどがあるが、あんな感覚で勝手な運用をされてしまっては困っちゃうのである。「民法143条に準じて」とか刑法のように独自に明記しているが民法と齟齬が生じないようにきちんとかかれているものがある中で、公職選挙法の規定はあまりにおざなりであいまいなものだ。公職選挙法としての年齢計算の方法が明記されていない以上、民法の期間計算の章が優先され適用されることが正しい運用方法である。しかしこんな条文があるのだ。<この項激怒>
(命令への委任)
第272条 この法律の実施のための手続その他その施行に関し必要な規定は、命令で定める。
基準日に期間を加減算する計算では、基準日の応当日(年単位、半年単位、月単位など)を求めることが多い。契約日に契約期間を加算した場合、これを満期日という。満期日の前日を満了日という。当然契約が有効な最終日は「満了日」となる。「満期日」という用語が使われるのは、保険契約に多く、保障期間が満了した翌日の満期日に満期保険金の支払い等が行われることによる。これは保障期間の最終日に保険事故(死亡)等があった場合は死亡保険金が支払われ、満期保険金は支払われないケースがあるからだ。
民法142条の営業日判定は満了日が営業日かどうか判定しているのであって、期間内の非営業日を算入しないと言っているわけではないことに注意する必要がある。
◆ここで1点課題が残る。それは、起算日が29日で、満了日がうるう年以外の2月となるケースである。民法143条第2号の但し書きにおいては、2月28日が満期日となることを規定しているが、満了日に対する影響に言及していない。「満期日=満了日となる特異日」であると捉えれば別掲のアルゴリズムでOKだが、あくまで「満期日(応当する日)の前日を以て満了日とする」が生きているなら、2月27日に月を以てする計算の満了日となることになり、このアルゴリズムではこの点だけ解が相違することになる(メインページの「期間の計算」と「期間の加減算」で齟齬が生じている。)。例えば誕生日が2月29日の人がうるう年以外で満年齢に達する日は2月27日なのか2月28日なのかということである。実際の運用はどうなっているのか?
(2007/9/11 追記) 民法が現代語で改正(96年より後)された際、「満期日」という言葉が消え、上記のケースでは月末が満了日ということが明確になった。従って前者の解釈でOKということになる。改訂により齟齬解消。
さて、営業日判定であるが、土日は計算で、祝祭日は祝日法(参考:なぜ秋分の日は年によってかわるのか)のロジックで決定することができるのだが、暦通りなのは公的機関における手続きくらいなものであり、一般企業/団体では「独自の営業日」に基づいて営業を行っている(単純な例では土曜日の扱いなど。業界によっては平日が定休日であることもある。)。従って、これについては、「年間の予定テーブル」をメンテナンスして参照しながら判定しなければならない。
また、142条では満了日が営業日でない場合は次の営業日まで延長される旨を定めているが(繰り下げ)、契約の当事者間の関係から、繰り上げたほうが当事者の利益となる場合に前倒した日付を設定することで合意する場合がある(給与の支給日など)。従って、「繰り下げ/繰り上げフラグ」をアプリケーション(適用業務)に応じて決定し、それも参照する必要がある。
以上、2点の「個別のメンテナンス」は一般化できず、各々のシステムで対応する必要がある。
(Commented at 1996,2007,2008,2009,2010,2012,2014 by chu)